白さも白し富士の白雪
今日のタマねい <2014年3月11日>
「とある政治家が『わしの心境は、白さも白し富士の白雪じゃ」とか言ったとか言わないとか。総理を決める党大会直前まで韜晦したとか。才能を韜晦(とうかい)することは大切よ。でも、美しい言葉なのに白々しく聞こえるのは何故かしら?
今日もりっぱな藤の花が沢山見れそうね。」
白さも白し富士の白雪と言った政治家は大野伴睦氏よ。
鳩山一郎総裁が引退を表明すると、岸信介幹事長、石井光次郎総務会長、石橋湛山通産相の総理候補がいて、次は誰を総理にするか大いに揉めたそうよ。最有力は岸信介だったのだけれども、過半数には僅かに届かない。そこでまだ意思表明をしていない大野伴睦派の大野氏の動向に世間が注目していた。
そこで言ったのが、『わしの心境は、白さも白し富士の白雪じゃ」という言葉よ。
結局、党大会直前まで韜晦したらしいわ。
党大会の結果は、岸223票、石橋151票、石井137票と誰も過半数に届かず、石橋・石井の密約により2位の石橋が石井の票を貰って決戦投票で逆転勝ちしたの。
第五十六代石橋湛山内閣の人事に大野伴睦氏の名はなかった。
大野伴睦氏は大いに激怒した。なぜなら、石橋の参謀・石田博英が大野に「党のことはお任せする」と囁いたことを反故にされたからよ。
『白さも白し富士の白雪』という純白の心で挑んでいれば、激怒することもなかったでしょうに。
政治家が呟く言葉は腹黒さを真白な雪で覆い隠したようで『白々しく』聞こえるわね。
本来の意味は、
「物いへば唇寒し秋の風 人の短(たん)をいふ事なかれ、己が長(ちょう)をとく事なかれ」
と歌った松尾芭蕉の有名な句と同じで、無遠慮にならないように説いたものよ。
人の短所を軽率に指摘してはならないのは、相手への侮蔑になり相手を不愉快にするだけで気を付けたいわね。でも、短所を言ってくれる友人は大切よ。知らず知らずの内に無遠慮になって粗相を未然に防げるからね!
自分の長所を誇らしげに、自慢してはならないのも同じ、奢り高ぶっているように思われるだけで何も得なことはないのよ。どちらも秋風のように唇を寒々とするだけよ。
でも、『白さも白し富士の白雪』には、白が3つ含まれている。“白々しい”ではなく、“白々々しい”と輪を掛けて空々しく思えるね。
そう言えば、今日は2014年3月11日ね。
多くの政治家が『白さも白し富士の白雪』と秋風のような藤の花を多く咲かせるでしょうね!
ただ一言『申し訳ない。何もできていません』と涙を流して号泣する方には共感を覚えるのでしょうが、そんな奇特な方はいるかしら?
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