消費税を10%にしても、借金1050兆円は返せない。ーマスコミは馬鹿か!?ー
野田総理が消費税を10%すると、G20で国際公約をした。
現在の国会や講演で消費税を10%にする。国際公約にするといういう発表はなされていない。
闇討ちのような発表である。
国会の所信表明で、「G20で今後の財政政策として、消費税を10%に引き上げます」と公言していたならば、国会は復興税と消費税の議論が行なわれていただろう。
しかし、野田総理は国会を軽視し、国民を騙したのである。
TPPも国民の真意を得ることなく、交渉参加を決めてくるだろう。
こんな身勝手な人間を総理にしておくのは危険だ。
私は内閣不信任議案を提出し、APECには行かせてはいけない。
<消費税を10%にしても増収にならない>
テレビを見ていると野田総理の発表に同情的な意見を言っている。
国民を裏切って発表に同意する感覚が判らない。
しかも、消費税を10%にしても借金1050兆円は少しも減ることはない。借金の対策にもならない政策をどうして賛同するのだろうか?
単純に物事は考える方が理解しやすい。
1年間に100万円の消費をする人がいるとしよう。
100万円には消費税5%が掛かり、105万円を支払う。5万円が税収である。
消費税を10%にすると、110万円の支払いになり、10万円の税収になるか?
そうはいかない。
収入が多く毎月貯金をしている人ならば、貯金率が下がるだけで消費税を10%払うことができるだろう。
しかし、2008年の平均所得291万6000円で、今はもっと悪化しているだろう。
(内閣府が26日発表した2008年度の県民経済計算による全国平均所得)
生活に余裕のない人間の方が多いのである。
つまり、支払える額105万円は変らない。
購入金額95万円+消費税10万円=全体支払い金額105万円 税収10万円
税収は約10万円となるが、購入額が小さくなる訳だ。
しかし、問題はこの先にある5万円売れなくなった商品は、当然の事ながら5万円分の雇用を必要としなくなる。つまり、来年度は5%が失業者が発生し、5%づつ購入者が減ってゆくのだ。そして、それは再来年へとデフレプパイラルと言われる悪循環に入ってしまうのである。
1年目 購入金額95万円+消費税 10.0万円(増収分5.0万円)
2年目 購入金額90万円+消費税 9.0万円(増収分4.0万円)
3年目 購入金額86万円+消費税 8.6万円(増収分3.6万円)
4年目 購入金額81万円+消費税 8.1万円(増収分3.1万円)
5年目 購入金額77万円+消費税 7.7万円(増収分2.7万円)
6年目 購入金額74万円+消費税 7.4万円(増収分2.4万円)
7年目 購入金額70万円+消費税 7.0万円(増収分2.0万円)
8年目 購入金額66万円+消費税 6.6万円(増収分1.6万円)
9年目 購入金額63万円+消費税 6.3万円(増収分1.3万円)
10年目 購入金額60万円+消費税 6.0万円(増収分1.0万円)
11年目 購入金額54万円+消費税 5.4万円(増収分0.4万円)
12年目 購入金額51万円+消費税 5.1万円(増収分0.1万円)
13年目 購入金額49万円+消費税 4.9万円(増収なし)
これで判るように、13年後には元の消費税と同じ税収に落ち込んでしまう。
財務省のデーターより22年度の消費税は約10兆円で13年を掛けても約27兆円程度の税収増にしかならない。14年目以降は減収であり、1050兆円を返還できる目処が付くハズもない。
況して、日本の経済力が半減してしまっては返すことが、さらに困難になってしまう。
増税による借金の返済は、現在の日本の経済力なら10兆円くらいまでしか効果がないということだ。
復興税10兆円として、それを増税で賄うというのなら計算も成り立つのだが、1000兆円を超える借金になるとその計算は成り立たないことが判って貰えるだろうか。
しかし、問題はそんなところではない。
購買力が13年で半分に落ち込むことが問題なのである。
現実の日本では、外国の景気動向や貯蓄という蓄えを多くの国民が持っていた為に消費の落ち込みは計算ほど低くなっていません。
日本の名目GDP(左軸)と政府の租税収入の推移(単位:十億円)
.
政府の税収の推移
.
消費税・所得税・法人税 税収の推移
.
1990年のバブル崩壊以降、税収が減少する中も名目GDPは1997年のピークを迎えるまで上昇しています。
消費税は1989年(平成元年)に3%が施行され、1997年(平成9年)に5%に引き上げられました。
しかし、1999年以降は消費税が増収になる一方で所得税の落ち込みによって税収が落ち込んでいます。消費税の引き上げが増収に繋がらないことはこのことでも実証済みです。
一方、GDPと税収の関係は密接です。
景気が上昇しGDPが上昇すると税収が上がり、景気が減退すると税収が下がります。
当たり前のことですが、景気対策が重要なのです。
消費税を5%から10%に引き上げる政策は、国の増税策のように見えますが、景気減退策の為に長期的に減収します。
具体的な景気上昇策がセットで発表しなければ、無為無策、経済音痴を露呈した日本の信用を落とすだけの行為でしかありません。
<景気の減退は政府の無策から来た人災>
バブル崩壊以降、日本政府は失策を続けております。
旧大蔵省は、バブルを沈静化する為に数量規制によってバブル崩壊を起こしました。バブル崩壊後、ソフトランディングとして数量規制を緩和し、公共投資を復活すれば、緩慢ながらも経済は落ち着きを取り戻したのでしょうが、1997年(平成9年)には財務省は放漫税制の是正と緊縮財政に転換し、遂にデフレを発生させてしました。
もうこれは犯罪と言っていいでしょう。
公共投資額とGDP比率を見て貰えば判るように、1997年(平成9年)4月に消費税を5%に上げ、11月には財政構造改革法を成立し、緊縮財政に転換しました。それ以降、公共事業の減少と公共投資対GDP比率を下げ幅はまったく同じ曲線を描いています。
つまり、公共事業が直接景気指数に影響しているのです。
1997年を境界として、経済の悪化が顕著に表れています。それは自殺者や失業者が増加からとって見られます。
国民を苦しめているのは財務省がとっている緊縮財政そのものが日本の景気を減退させているのです。
さらに、消費税を10%にする云々以前に景気対策を打ち出して貰いたいものです。
<緊縮財政では、借金は減らない>
財務省は1997年(平成9年)に消費税を3%から5%に引き上げ、公共事業を削減する緊縮財政に舵を大きく切りました。
さて、1997年以降、日本の借金は減少しているのでしょうか?
国際情勢や国内情勢が色々考えられるとして、減少した実績はあるのでしょうか?
国債発行残高を見て判るように増加を続けております。
結局、景気が減退し、税収が減れば、借金の返還まで財政が回らないのは当然です。
名目GDP成長率(年率)が1%高いと「直接税」の税収は約1.7兆円増えます。
逆に、1%下がると約1.7兆円の減収になります。
麻生総理は2009年度補正予算で、対GDP(国内総生産)比で2%以上(26.9兆円の追加策)になるように指示を出しましたが、残念ながら民主党鳩山政権になり、再び緊縮財政に転換され、税収が落ちたことが悔やまれます。
日本の税収推移
.
2010年度の税収が約40兆円
(2009年度税収約37.4兆円。2008年度 44.3兆円。2007年度 51兆円)
〔小泉政権時、米国の住宅バブルによって景気回復が進んだ為に、2003年度43.3兆円まで減少した税収は、2007年安部政権時には51兆円まで回復していた。しかし、2008年には米国のバブル破綻、リーマンショックから44.3兆円と税収を落とした。〕
景気が一時回復した小泉政権下でも、国債発行残高は増加しております。
財政の投資先には十分な配慮をなさなければなりませんが、緊縮財政では財政の健全化が不可能であることも、この20年間が語っております。
しかし、財務省は緊縮財政と増税路線を変更しません。
まるで志那事変(日中戦争)時の日本参謀本部のように、当初の計画に固執しているように思えてなりません。
明治政府が近代化の為に借金を返済したときも、戦後復興時も経済の拡大なしに借金の返済はありえません。
すでに成熟した国家ですから経済成長率を2~3%に設定して、長期の返済を考えなくてはなりません。
況して、デフレのままでは経済の崩壊が待っているだけです。
緊縮財政を直ちに止めて、インフレターゲットを2%に設定して、経済成長を達成させる政策に転換しなければなりません。
ただ、注意することは、投資先がまったく無駄に浪費されるだけでは長期的に財政を悪化させる。(子供手当などが悪い例である)
そのことを念頭において、どこに投資するかを十分議論する必要があるが、縮小するだけでは景気は減退するだけである。
<まとめ>
日本の構造改革は、すべてにおいて根幹理論と隅々までの実施という点で中途半端な改革しか行なっていない。
時代ともに古くなったシステムを橋本構造改革、小泉行政改革、鳩山事業仕分けと改革してきた訳だがどれも部分的な改革に留まり、本丸には達していない。また、規制緩和も同じであり、大企業や大型店の有利がはっきりしており、ダンピングなどの違法行為が横行しているが、行政の機能はまったく働いていない。
これでは、「仏作って、魂入れず」である。
米国の外圧要求は年々強くなり、宮沢内閣のときは年次改革要望書なるものが作られた。
米国の要求は決して間違ったものではないが、部分的な運用や旧来のシステムに要求のシステムを上書きする為に起こるシステムエラーなどが日本経済を困窮させている。
たとえば、コカコーラである。
現在でも、1.5ℓペットの定価は330円、卸は280円である。
驚きと思うがこれが事実である。
市場やスパーの価格は148~198円が当たり前の時代であっても、正規ルートと購入すると店は280円で購入しなければならない。
1本当たり100円の運送料が掛かっているのがコカコーラの言い分である。
スーパーと同じ量を買うと言っても一般店には送料が不可される。
実に不思議なダンピングではあるが、公正取引委員会に提訴しても相手にされない。
こういった社会のひずみが至るところに発生しており、これを是正する気がないらしい。
米国の要求を飲むばかりで、日本のシステムを改善しない為に経済の悪循環が横行している。橋本構造改革、小泉行政改革、鳩山事業仕分けは目先の改革に捕らわれて、本質的な改革が行なわれていない。
これが経済を悪くしているもう1つの要因である。
景気立て直し策として、財政出動しても効果が上がらないのも、このシステムエラーが障害となっている。
公務員の再構築(リストラ)も進んでいない。
こういった問題を本来マスコミが取り上げて、政府に是正を勧告しなければならないのだが、一緒になって騒いでいる。
1050兆円の借金の大きさに、意味のない増税を認めるような発言を繰り返している。
無知蒙昧としか言いようがない。
思えば、戦前のマスコミも軍部と結託し、民衆の戦意を高揚して、戦禍を広げたのもマスコミであった。
歴史は繰り返すというが、同じ過ちをしていないだろうか。
---------------○------------------
・一般会計税収の推移
.
(注) 財務省データー 平成22年度までは決算額、平成23年度は予算額です。
・所得税収の推移
.
(注) 所得税収は、22年度以前は決算額、23年度は予算額です。 なお、所得譲与税による税源移譲(16年度▲0.4兆円、17年度▲1.1兆円、18年度▲3.0兆円)後の計数です。
※資料は財務省のデーターより
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei/04.htm
2003年(平成15年)日本の国内総生産 - 501兆2501億円 (前年比 名目0.8%、実質2.0%)
2004年(平成16年)日本の国内総生産 - 504兆5893億円 - (前年比 +1.4%)
年次改革要望書:正式には「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書」(The U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative)と呼ばれた。
« 日本の借金 1150兆円、消費財の増税は必要か??? | トップページ | 放射能汚染 報道が小さくなることに不安を覚える。 »
「ニュース」カテゴリの記事
- STAP細胞は驚くべき発見なのか?(2014.02.06)
- トリチウムって、本当に安全なの?(2013.09.20)
- 知性と生活保護と反日教育(2013.08.06)
- 失業率と失業数(2013.07.30)
- 安倍総理の150万円が何かと話題になるが、何か可笑しい?(2013.06.19)
この記事へのコメントは終了しました。
« 日本の借金 1150兆円、消費財の増税は必要か??? | トップページ | 放射能汚染 報道が小さくなることに不安を覚える。 »
コメント