徹底されない食の安全、危険に晒されている食卓
食卓にならぶ食べ物は、本当に安全なのだろうか?
10月20日、岐阜市の「肉の松久」(岐阜市琴塚2丁目)は、暫定規制値の約3倍 1400Bq/kgの食肉を完売したと言う。肉は8月9日9.6Kg、8月31日3.2kgを愛知県稲沢市の業者から仕入れた肉から検出された。
セシウム入りの1400Bq/kgの肉はすべて完売されていたことも判っている。
9月15日、福島の1日の処理能力はこれまでの最大36頭から200頭程度増え、出荷停止前の水準に戻ったことから県外の食肉処理場への肉牛の出荷を16日から再開すると発表した。
これで岩手、宮城、福島、栃木の全頭検査の体制が固まった。
9月27日には、全農や各県の畜産担当、農林水産省の関係者ら約300人が出席し、肉牛の出荷停止が解除された岩手、宮城、福島、栃木各県の牛肉の安全性をPRするために催され、『牛肉は安全』と安全宣言した。
しかし、これからは「肉の松久」のような事件は、起こらないと本当に思っているのだろうか?
すべて回収されたハズの放射性セシウムに汚染された稲わらを食べた宮城県産の牛肉。
9月16日、沖縄県で放射性セシウムに汚染された稲わらを食べた宮城県産の牛肉26.6キロが県内に流通していたと発表している。すべて完売しているのでこの肉にセシウムがあったかどうかは判らないない。
こんなズサンな状態でよく安全宣言ができるものだ。
東北以外の他府県の検査体制を強化する必要があり、4県から出荷されるすべての食肉が500Bq/kgを下回っているという保障などどこにもない。
汚染がまだら模様で点在するように、1頭の牛でも汚染の状態はそれぞれ異なっていると考えるべきだ。
10Bq/kg以下の食牛しか出荷しないというなら、この批判は値しないのだが、基準はあくまで500Bq/kgである。1000Bq/kgを越えるような牛肉が流通しなくなったという程度だ。
私から言わせて頂くと、やっと安全を確保できる目処が付いたに過ぎず、安全にはほど遠い状態である。
<食の安全を考えよう>
流通の安全を考えるのは、少なくとも3つ段階を踏まえて進めてゆくしかない。
ステップ〔1〕:すべての食材のサンプル検査
ステップ〔2〕:物流のすべてのスキャンティング検査
ステップ〔3〕:最小ベクレル検査
牛肉に関して言えば、このステップ1を終えたばかりで、やっと検査の入り口の達した所だ。
次は、発送するすべての商品をスキャンする方向に進むのが普通の発想である。
一部の業者では、測定器の代用品としてガイガーカウンタを使った全商品の検査を始めている。これが普通の発想である。
しかし、何故が農水省の関係者は、サンプル検査のみで『安全』を強調する。
金のメッキを張っただけの、偽ブランド商品のような薄べったい『安全宣言』である。
どうも最近の政府は、安全を安売りし過ぎている。
政府がいう『安全』に重みがないのだ。
『安全』という言葉を使うなら、ステップ1~3をすべて完了してからにしてもらいたい。
<物流のすべてのスキャンティング検査>
物流におけるサンプル調査はかなり浸透し、生産者からの安全の担保ができつつあるのは間違い。
但し、国が定める暫定規制値500Bq/kg以下という水準という意味である。
(暫定規制値500Bq/kgが如何に危険かというのは、何度も言っているので省かせて頂く)
各県各市町村で食品放射能測定システムの導入が進められている。
茨城県 河内町
茨城県 龍ケ崎市
福島県 白河市
東京都 小金井市 など
(また、ベクミル <千葉県柏市>のような、食品の放射能測定器レンタルも始まっている。)
主によく使われている製品は、
・メーカー名:日立アロカメディカル 製品名:食品放射能測定システム CAN-OSP-NAI
・メーカー名:応用光研工業 製品名:微量放射能測定装置 FNF401 価格:約430万円 自社製の3インチシンチレーターを使用。測定試料:1L メーカー保証検出限界値 20分測定10Bq/kg以下
・メーカー名:キャンベラジャパン 製品名:CJNAI 食品・放射能測定装置 価格:約515万円 2インチシンチレーター使用。測定試料:1L メーカー保証検出限界値 10分測定30Bq/kg
・メーカー名:ベルトールドジャパン 製品名:LB2045 価格:約300万円 2インチシンチレーター使用。測定試料400mL メーカー保証検出限界値:(カタログには1Bq/kgとあるが、メーカーに問い合わせたところ、メーカー保証無し。)
のようである。
比較的安価で購入しやすいというのが理由ではないだろうか。
しかし、ここで忘れてほしくないことがある。測定限界下限値の精度が30~50Bq/kg程度という現実である。
3月11日以前なら規定値である10Bq/kを測定できない不良品として、市場に販売されることない商品であることをよく考えて思いたい。
ともかく、国が定めた暫定規制値をクリアーする物流が復活している。
そろそろ物流の過程におけるチェックを強化する時期に差し掛かっている。
ステップ〔2〕:物流のすべてのスキャンティング検査
ステップ〔1〕は、放射能から国民を守る防波堤のようなものだとすれば、ステップ〔2〕は浸水した水(放射能)を排出ポンプみたいなものである。
すべての物流のチェックをいれなければ、安全の担保はできない。
児玉 龍彦(東京大学アイソトープ総合センターセンター長兼東京大学先端科学技術研究センター教授)が言っていた全商品のスキャンティング検査が次のステップでなる。
児玉教授が言う製品
・メーカー名:富士電機 製品名:食品放射能測定システム
1台420万円、1つの検査時間が10kgの場合で約12秒と実にスムーズです。
但し、これも検出限界は以下の通りで不十分なシステムです。
肉類(11.7kg) 約140Bq/kg(精密測定時 約50Bq/kg)
米類(30kg) 約90Bq/kg(精密測定時 約35Bq/kg)
葉菜類(10kg) 約250Bq/kg(精密測定時 約100Bq/kg)
1日当たり16時間稼働で4.8t(8時間稼働で2.4t)の検査は可能と考えると、
米の年間総生産量(22年度)8,478,000t
1日当たり4,839台が稼働すればすべて検査できる。
4,839台の購入金額は、約203億円となり、
凍結された朝霞宿舎と比較すると、総事業費105億円ですから朝霞宿舎2つ分の予算で全国の年間米運搬における全米を放射能チェックできる。
因みに、23年度の国の地方合同庁舎の新設または再開する事業は総工費600億円を越えていますので、こちらを後回しにして、ベルトコンべー式の検査装置を奨励すれば、おそらく1~2年で全国の物流センターの全検査体制もできると言う訳です。
実用レベルに問題なく、予算的にも問題はありません。
後は3次の補正予算に盛り込むだけで、夏頃までには東北・北関東の物流センターに導入も可能になります。
国の地方合同庁舎の凍結が嫌というならば、23年度原子力発電関連補助金,特別会計3161億円から回して頂くという手もあります。
国会の心づもり1つでステップ〔2〕もクリアーできます。
<最小ベクレル検査への移行>
ステップ〔2〕はどこまで行っても暫定の安全値であり、国民の安全にはほど遠いものです。
年間線量1mSvに戻し、規制値も10Bq/kgに戻すことが最終目標です。
放射能を含む食品は回収し、各地の放射能除去焼却施設を建設し、放射能のみを回収する。
物流センターに設置された検査機も高性能の検査機と交換することが必要です。
東北・北関東の物流センターへの導入はスピードが命ですので現行の基準値を優先して配置し、地方は始めから高性能の検査機を設置するようにするのが一番でしょう。
高性能の食品放射能測定システムが製品化されるには、1~2年掛かると思われますので、丁度いいタイミングになると思われます。
いずれにしろ、各地に放射能除去焼却施設を建設を検討する時期に入っているのですが、どうも反応が遅いように思われます。
現在、政府は瓦礫の撤去に各県の協力を要請(強制)しておりますが、放射能入りの瓦礫を引き取るというのは酷い話です。
放射能を拡散するという意味でも賛成しかねます。
<どこに放射能を保管するの?>
放射能はどこかに隔離しなければいけません。
そろそろ政治家の最も重要な決断、一部の住民を犠牲にするという断腸の決断の時なのではないでしょうか。
福島が最も酷い決断の場所であり、真実を告げるときが近づいていると思われます。
福島第1原子力発電所付近の住民も薄々は気づいております。
はっきりと言わなければ、生殺しのような状態が続きます。保障も始まりません。
私が政治家になりたくない一番の理由。
大を生かす為に小を省く。
福島第1原子力発電所の停止まで3~5年、解体まで10~50年、住めるように回復するまで1万~10万年。
その期間、そんな危険な所に住民を住まわせることができるのでしょうか。
結論はすでに出ております。
しかし、それを言える政治家がいるのでしょうか?
.<まとめ>
サンプル検査で『安全』と言っているようでは、全然安全が担保できていない。
子供を心配する親御さんが九州などから野菜を購入する努力を続けているが、しばらく続ける必要がありそうだ。
しかも、暫定基準値400ベクレル/kg(製品重量)以内の堆肥なら販売してもいいなどと国が言っているので、突然、西日本で放射能暫定値越えの野菜や米が出て来てもおかしくない状況を作っている。
堆肥に放射能入りは不味いでしょう。野菜が育成する段階で濃縮される可能性が高いのは誰の目からも明らか。
予測できる範囲の問題は、先手を打って対策を行なって貰いたいモノだ。
それを考えても、物流経過での測定義務化を行なって貰いたい。
事件が起こってから想定外というのは止めてほしい。
さて、いますぐに出来ることが3つある。
・放射能検査済みのシールを貼る。
・放射能の測定値を掲載する。
・放射能の測定限界を表示する。(不検出NGの判断材料)
これだけでも子供に与えて良いか悪いかの判断になり、子供を守りたいという母親の助けになるのですぐに実施してもらいたい。
食の安全は、まだまだ確保されていない。これから良くなることを期待したい。
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食品放射能測定システム
http://www.fujielectric.co.jp/about/news/11080102/index.html
1台420万円
高感度ガンマ線検出器を採用し、食品をダンボールなどの梱包状態のまま、ベルトコンベアに載せ、連続的かつ簡単に測定することができます。
検出限界(※1)134Cs+137Cs
肉類(11.7kg) 約140Bq/kg(精密測定時 約50Bq/kg)
米類(30kg) 約90Bq/kg(精密測定時 約35Bq/kg)
葉菜類(10kg) 約250Bq/kg(精密測定時 約100Bq/kg)
※1: 検出限界はBGおよび測定物(箱等)の形状により変動します。
・この検出限界精度では不十分
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農林水産基本データ集
http://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/index02.html
http://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/06.html
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投稿: | 2011年10月22日 (土) 20時31分
ブログの掲載を終えて、NHKを見ていると話題が被ってしまったらしい。
NHKの討論はシナリオがあってあまり信じていない。
しかし、流れを聞いていると、ベクレル表示の方向に進んでいる。
今後の政府の方針がそう言った方向に進むということなのだろうか?( ^ω^ )
放射能測定検査に予算が付くと嬉しいな!
投稿: (管理人)donnat | 2011年10月22日 (土) 22時28分