福島原発事故、4時間早ければ溶融回避
決して責める訳ではない。
あのとき、“こうしていれば”と反省と後悔を持つのは人間として当然のことだ。
あれは天災だから仕方なかったと忘れてしまう方が遙かに質が悪い。「想定外」と責任を回避する輩など責任者として最低の人間である。
反省と対処方法、そして、今後の対策を行なってから身を処分する。
これが分を弁えた人間の正しいあり方である。
さて、日本原子力研究開発機構の2号機の原子炉の状態をコンピューターで再現した結果、
水を入れたことによって、一旦は温度が下がっていることからもう少し早い段階で水の注入を開始できた場合、メルトダウンが防げたことを発表した。
とりわけ、珍しい発表でもない。
・予備電源がもう少し長く生きていれば
・外部電源との接続を簡単にしていれば、
・外部注入ポンプとの接続を最初から想定していれば、
・予備の冷却システムを外部に接続できるようにしていれば、
・緊急用の原子力発電の廃棄システムを設置していれば、
・遠隔で操作できるロボットを常備設置していれば、
反省する点は山ほどあり、どこまで今度の対策に盛り込まれるかが、この事故の真価を問われることになるだろう。
現場はまだその域に達していない。
壊れた原子力発電システムは今も大量の熱を発生させている。
如何に放射能を外部に漏らさず、ここまま停止させるかという難問と戦い続けなければならない。
しかし、国会などは、そろそろ反省とその他の原子炉に対する対策を考えなくてはならないのだが動かすことに熱心であり、今後、問題が起こった場合の対策の声が聞こえて来ない。
これは非常に不安なことである。
《福島の原子炉は安全になったの?》
福島第一原子力発電所の情報は、相も変わらずに情報の鎖国を続けている。
実際に現場の人間も判らないというのが正しいのだろうが、構内の水質結果や外部からの放射能測定の結果などの発表はされていないと思う。
原子力災害対策本部の発表
http://www.kantei.go.jp/saigai/pdf/201109131400gensai.pdf
少なくと公式発表では、特に進展したと思われる箇所はない。
・外部の冷却システムがほぼ稼働できるようになったこと。
・屋外の瓦礫撤去を行なっていること。
この2点を除けば、爆発したあの日以降と同じ作業を今も継続中である。
・放射能の外部放出は現在も続いている。
・外部の燃料棒は放置したままである。
それと「50mSv 超100mSv 以下」の作業者は64 名になったこと。
それくらいが、現在の進捗状況といったところだろう。
原子力内部の状況は、最悪の事態(水蒸気爆発)を避けたままで膠着中である。余震などで悪くなる可能性も、このまま安全に止まってくれる可能性も残したままで状況は止まっている。
「安全宣言」など以ての外だが、危険とも言えないようだ。
当面の問題は、地下水汚染の拡大をどう防ぐかが早急の課題だ。
現場はよくやっていると私は思っているが、バックアップは最悪のままである。対応が3~6ヶ月遅れで進んでいる。
現場が好転していかないのは、このバックアップが機能していないからである。
そんなに難しい話ではない。「やれることをすべてやる」それが危機対応だ。
予算を考えながら原子力内部を調査するロボットを開発していたのでは、完成に10年は掛かってしまう。自治体に丸投げで安置場所を決めずの放射能除染を初めてもすぐに滞ってしまう。
日本政府のバックアップは、危機対応と通常の業務が混在している。
この体制が最も危険な状態だと思われる。
《反省の議論をはじめたい》
国会が始まった。
原子力について、反省の議論を聞きたいものだ。
再稼働の話をするより、今何ができるのか。
何が出来なかったのか。
どうするべきだったのか。
責任ウンヌン以前に、話会うことが山積みだと思うのは私だけなのだろうか。
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“4時間早ければ溶融回避”
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110915/t10015628021000.html
9月15日 18時47分
東京電力福島第一原子力発電所の事故では1号機から3号機で核燃料が溶け落ちるメルトダウンが起きましたが、このうち大量の放射性物質の放出につながった2号機のメルトダウンは、実際より4時間早く水の注入を始めていれば防げた可能性のあることが、研究機関の解析で分かりました。
福島第一原発では、3月11日から14日にかけていずれも冷却機能を失って1号機、3号機、2号機の順にメルトダウンし、このうち2号機では、15日朝に起きた爆発で大量の放射性物質が放出され、放射能汚染が広がる大きな原因となりました。日本原子力研究開発機構は、2号機の原子炉の状態をコンピューターで再現し、メルトダウンを防ぐ手立てはなかったか調べました。実際の2号機の対応では、14日に水の注入のため原子炉の圧力を下げたあと午後8時ごろに水を入れ始めたとされています。解析では、午後4時半以降に圧力を下げて水を入れた場合、温度はいったん下がりますが、すでに原子炉の水位が大幅に低下しているため温度が上昇に転じ、メルトダウンに至ります。しかし、圧力を下げる作業をもっと早く始めて午後4時ごろまでに水の注入を始めた場合、燃料の表面温度は被覆管が壊れる1200度に達する前に下がりはじめ、メルトダウンを防げた可能性があるという解析結果となっています。東京電力の当時の対応では、2号機の周辺に消防車を配置して注水の準備を整えていましたが、3号機の水素爆発によって消防車が壊れるなどして水の注入のための作業開始に時間がかかっていました。東京電力は「放射線量が高いなど非常に厳しい環境下で懸命の作業を行ったもので、注水作業が遅れたとは考えていない」としています。解析を行った原子力機構の平野雅司安全研究センター長は「2号機は3日間、原子炉の冷却が続いていたので時間的に余裕があり、燃料の損傷を避けられた可能性が十分にある。困難はあってもなぜ速やかに原子炉に水を入れられなかったのか、運転員の行動や水を入れる準備の状況が事故調査の重要なポイントになる」と話しています。この研究結果は、今月19日から北九州市で開かれる日本原子力学会の大会で発表されます。
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