東京都・性描写漫画規制条例について
基本的に子供へのポルノ規制には賛成の私だが運用が曖昧な法律では賛成できない。
今回、東京で改正となった「東京都青少年の健全な育成に関する条例」は、
改正案第2条
第7条(図書類等の販売及び興行の自主規制)
一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの。
二 漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
である。
『成長を阻害するおそれ』、『性交類似行為』とは誰が判断するのであろうか?
具体的な例をあげて、ここまでセーフで、ここからがアウトと示していない法案にどれほどの危険性があるか判ったものではない。
少なくとも凡例を上げて、指針となるものを具体的に示すべきだと思われる。
たとえば、
『いじめ』をテーマにした漫画を描くと、“いじめを助長しかねない”と言われると描けなくなってしまう。
“虐め”の実態を知らせるのに“虐め”を描かないのは、性教育で“セックス”を教えないで“コウノトリ”が赤ちゃんを運んでくると教えるのに等しい。
人間は時間と共に成長するのであって、児童という言葉で一くくりにできない。
実に曖昧な一線が隠されているのである。
人間性が固まっていない小学校3年生以下してはならないが、それ以上の年齢は称賛するだけでないなら問題ないとか。
テーマ毎に今後の議論の中で、良か不可を随時判断する随時方式で積み重ねてゆくとか。
出版会、作家会、教育会、行政審議会等で中身を1つ1つ考えてゆくなどの条件が必要だと思われる。
『法』を運用はおそらく従来通りの
(組織)
一 業界に関係を有する者 三人以内
二 青少年の保護者 三人以内
三 学識経験を有する者 八人以内
四 関係行政機関の職員 三人以内
五 東京都の職員 三人以内
で行われると考えると、学識経験に選出されるメンバーの8人中7人か6人は行政側のお抱えである場合が多い。つまり、行政に都合の悪い出版物はすべて有害図書とされる危険性がある。
たとえば、
『日出処の天子』(ひいづるところのてんし)<山岸凉子作>などは、歴史物としては十分な背景を要しており、クリオリティーの高い作品である・・・・・・が、主人公の厩戸王子(聖徳太子)を同性愛者として描かれている。
さらにいえば、古代日本では異母兄妹の婚姻は認められていたので、近親関係の愛が描かれることになる。
ということで、『成長を阻害するおそれ』、『性交類似行為』のどちらにも抵触する可能性がある。
山岸凉子氏が石原都知事に賛同的なら一般図書で、
石原都政に批判的なら有害図書に指定される可能性も疑われるのではないだろうか?
近頃、自衛隊基地内の講演で、民主党に批判的な意見を言った方が排除されるということが起きている。
はたして、この条例がそのような言論統制の一環にならないと誰がいえるだろう。
大正時代にも『エログロナンセンス』という文化が流行ったことがあるらしい。言論統制のはじまりは社会風俗を著しく貶めている文化の根絶から始まり、国家治安維持法へと発展していった過去もある。
文化を『法』によって縛るのは、歴史を繰り返しているような気がしてならない。
取り締まるのなら『道徳』によって行うべきである。それをよくあらわしているのは史記の言葉である。
私もこういった図書を称賛にするのは反対である。こういった部類は、枕を並べたときに夜な夜な話されるべき枕言葉であるべきである。
しかし、『交わる』ことは決して悪ではない。おごそかに密やかにあるべき類であるだけだ。そう言った道徳を『礼儀』というと私は思う。
『礼は未然の前に禁じ、法は已然(いぜん)の後に施す。 法の用を為す所の者は見易くして、礼の禁を為す所の者は知り難し。』 (「史記」 太子公自序)
http://donnat.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-4a6e.html
性描写漫画規制条例について語ろう。
“法の用を為す所の者は見易くして”という言葉があるように、法は明確でなければならない。曖昧な表現を用いている今回の法案は道徳に期するところが大きく。子供、青少年少女、大人の道徳教育から強化するべき問題である。
もし、『法』で示すならば、より明確に具体的な表現でなければならない。
曖昧な『法』は百害あって一利なしである。
実害があるか判らない2次元の規制より、
実際に起こっている少女たちの売春やポルノDVDなどの摘発強化こそ急がれるべきものである。
3次元、リアルの被害者救済はどうなっているかをみれば、この法案の胡散臭さが浮き彫りにされる。
この法案は今年度でも、3度目の改正法案の提出は是か非でも通そうとしている。
(次の選挙までに不利な記事や論調をおさえないという言論統制を狙っているのではないかと疑っている訳である)
実害が定かでない2次元より、
被害にあった少女達や、被害にあっているという認識がない道徳が欠如した子供達を如何に救うかというところに主眼が置かれるべきではないだろうか?
2次元の改善ならやはり道徳問題である。
TVなどで石原都知事などが問題を提示し続ければいいのであって、法で強制する意味を私は感じない。。
社会がそういった作品を否定的に考えるようになると、出版社は部数が減少するのでそういった作品の掲載を減らして逝く。
コミックパティー系の同人誌を除けば、そういった作品が激減するのは社会の必然であろう。
今、しなければならないのは道徳教育の復活であり、『仁義礼知信』を日本の道徳として取り戻すことではないだろうか。
その為の大人・子供を含めた教育改革こそ急がれると思う。
さて、
桜チャンネルの水島総氏は、この記事に賛同しており、批判する業者に対して酷い発現をしている。
かなり一方的な表現で絶賛していると言ってもよい。
たしかに、業界が金儲け主義に走っていることは否めない。
その批判はまっとうなものである。しかし、法案の中身を議論せずに一方的に避難するのは問題である。
言論統制の可能性を感じないのだろうか?
民主党の仙石官房長官の言論統制には、酷く批判的な意見を持っているのに対して、石原都知事には激甘の発現である。
小林よしのりが民主党にすり寄っていると非難しているならば、水島総は石原都知事にすり寄っているようにしか見えない。
もちろん、私の知らない事実があり、それを考慮して言っているのであれば、私の批判はトンチンカンな批判でしかないが、真の真実は存在するのだろうか?
ここで考えられるのは、思想的区別ではないだろうか?
つまり、
民衆党、小林よしのりは左翼なので批判する。
石原は、右翼なので賛同する。
実にシンプルな比較がなされているのではないだろうか?
保守と言っても色々あり、簡単に分けると主に3つに分けることができる。
・昭和初期の軍国主義
・明治の帝国主義
・それ以前の王政復古主義
石原都知事は私の見る限り、軍国主義である。水島総もそうだと考えれば、無条件の石原氏の意見に賛同するのも頷ける。
法で人を縛る行為は、『和を持って尊し』との精神とは合いれないものである。
<追加>
12月23日にyoutubeで水島氏の意見が追加されました。
その前に“軍国主義=悪”と定義されて、悪い印象をお持ちの方もいるので昭和初期の帝国主義と言い換えて置きます。
これまでチャンネル桜はかなり支持しておりましたが、今回のことで思考停止があると判明しました。
12月23日発信の「表現の自由と店頭販売の現状」では、反対派の意見をまったく盛り込んでいない論調を繰り返しておりました。
如何に反対派が「悪」かと構成された30分は酷く苦痛なものでした。
論点の問題点は3つ
・反対派の主張を盛り込んでいない。
・過度に偏見的な意見を象徴するだけで、主観をはっきりさせていない。
・子供向けでない雑誌を広げて、子供向けと言っている。
反対派の中には水島氏が述べるように金設け主義者が暗躍しているのは間違いありません。しかし、彼らだけが反対している訳ではありません。
反対派の意見も少しは聞いてあげないと討論になりません。
悪のレッテルを貼って敵を駆逐するのは左翼のやり方です。水島氏が真似るのは如何なものかと思いました。
次に、どこを問題にしているかという主観やいきさつが語られていないことです。
・曖昧な表現をどうするという問題
・審査はだれがするのかという問題
・リアルの少女達よりも、架空少女のこれほど規制を急ぐ問題
・実際に引き起こす被害の報告が曖昧な問題
いつ、誰が、どこで、問題なのかということが論点から外れている。
簡単に言えば、
親が叱って取り上げれば終わる問題を、法律で規制する必要があるのか?
上でも言ってますが道徳と問題であり、法律の本題ではないと思うのです。さらに、犯罪に関しては言えば、現行法で十分対処できます。実際に酷使されていないのは苦慮しております。
3つ目に実写を対象外にした法律でいいのかという論点です。
法律の表現も曖昧ならば、青少年少女の実害の報告も曖昧です。
結局、そういった問題点を語らずに終始反対の主張を続けているのはどうでしょうか?
【青少年健全育成条例】表現の自由と店頭販売の現状[桜H22/12/23]
http://www.youtube.com/watch?v=EeYTGkGvkzw
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東京都青少年の健全な育成に関する条例
http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/g1012150001.html
昭和三九年八月一日 条例第一八一号
<前略>
(警告)
第十八条 前条第一項の知事が指定した知事部局の職員は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、警告を発することができる。
一 第九条第一項の規定に違反して青少年に指定図書類を販売し、頒布し、又は貸し付けた者
二 第九条第二項の規定に違反して同項の規定による包装を行わなかつた者
三 第九条第三項の規定に違反して同項の規定による陳列を行わなかつた者
2 前条第二項の知事が指定した知事部局の職員及び警視総監が指定した警察官は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、警告を発することができる。
一 第十条第一項の規定に違反して青少年に指定映画を観覧させた者
二 第十一条の規定に違反して青少年に指定演劇等を観覧させた者
三 第十三条第一項の規定に違反して青少年に指定がん具類(特定がん具類であるものに限る。)を販売し、又は頒布した者
四 第十三条の三第五項の規定に違反して表示を怠つた者
五 第十三条の四第一項又は第二項の規定に違反して自動販売機等に指定図書類又は指定がん具類を収納し、又は撤去しなかつた者
六 第十三条の五の規定に違反して同条に規定する措置をとらなかつた者
七 第十五条第三項の規定に該当する場合を除き、同条第一項の規定に違反して青少年から物品を質に取つて金銭を貸し付けた者
八 第十五条第三項の規定に該当する場合を除き、同条第二項の規定に違反して青少年から古物を買い受けた者
九 第十五条の三の規定に違反して同条各号に掲げるいずれかの行為を行つた者
十 第十二条又は第十六条第二項の規定に違反して掲示を怠つた者
3 第一項各号及び前項第一号から第九号までの各号のいずれかに該当する者が、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者であるときは、その法人又は人及びこれらの代理人に対しても、これらの項の規定による警告を発することができる。
4 第一項各号及び第二項第一号から第九号までの警告は、知事が指定した知事部局の職員が行う場合は東京都規則で、警視総監が指定した警察官が行う場合は東京都公安委員会規則で定める様式による警告書を交付して行うものとする。
(平一三条例三〇・平一六条例四三・一部改正)
<中略>
(設置)
第十九条 第十八条の二第一項の規定に基づく知事の諮問に応じ、調査し、審議するため、東京都青少年健全育成審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(平一六条例四三・一部改正)
(組織)
第二十条 審議会は、次の各号に掲げる者につき、知事が任命または委嘱する委員二十人以内をもつて組織する。
一 業界に関係を有する者 三人以内
二 青少年の保護者 三人以内
三 学識経験を有する者 八人以内
四 関係行政機関の職員 三人以内
五 東京都の職員 三人以内
2 専門の事項を調査するため必要があるときは、審議会に専門委員を置くことができる。
(平一三条例三〇・一部改正)
(委員及び専門委員の任期)
第二十一条 前条第一項第一号から第三号までの委員の任期は、二年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 専門委員の任期は、当該専門の事項に関する調査が終了するまでとする。
(平一三条例三〇・一部改正)
<中略>
(罰則)
第二十四条の三 第十八条の六の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
(平九条例七五・追加、平一六条例四三・平一七条例二五・一部改正)
第二十四条の四 次の各号の一に該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第十五条の二第一項の規定に違反する行為をすることを業として行つた者
二 第十五条の二第二項の規定に違反した者
(平一六条例四三・追加)
第二十五条 第十八条第一項各号、同条第二項第一号から第三号まで若しくは第五号から第九号まで又は同条第三項の規定による警告(同条第二項第四号に係る場合を除く。)に従わず、なお、第九条第一項、第二項若しくは第三項、第十条第一項、第十一条、第十三条第一項(特定がん具類に関して適用される場合に限る。)、第十三条の四第一項若しくは第二項、第十三条の五、第十五条第一項若しくは第二項又は第十五条の三の規定に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。
(平一六条例四三・全改)
<以下略>
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東京都青少年の健全な育成に関する条例
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E9%9D%92%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%85%A8%E3%81%AA%E8%82%B2%E6%88%90%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%9D%A1%E4%BE%8B
東京都青少年の健全な育成に関する条例(とうきょうとせいしょうねんのけんぜんないくせいにかんするじょうれい、昭和39年8月1日条例第181号)は、東京都における青少年保護育成条例として、1964年(昭和39年)に制定された条例である。
2010年12月現在における最新の改正は、2010年(平成22年)に行なわれたものである。
<前略>
11月の改正案(12月に可決)
2月提出案が6月に否決されたが、11月に始まる都議会に改正案が再提出され、可決された。この改正案は、違法性を自主規制の基準とし、「非実在青少年」という用語を削除する。この箇所は犯罪となる性交又は性交類似行為を規制の対象とすることから、「非実在性犯罪」や「非実在犯罪」規制と呼ばれる。
改正案第2条
第7条(図書類等の販売及び興行の自主規制)
図書類の発行、販売又は貸付けを業とする者並びに映画等を主催するもの及び興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条の興行場をいう。以下同じ。)を経営する者は、図書類又は映画等の内容が、次の各号のいずれかに該当するものと認めるときは、相互に協力し、緊密な連絡の下に、当該図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は閲覧させないように務めなければならない。
一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの。
二 漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
単純所持禁止の努力規定は削除され、また「青少年性的視覚描写物」に相当する箇所は「青少年を性欲の対象として扱う図書類等」(ジュニアアイドル写真集を指す)に置き換えられ、創作物に関する箇所は削除されている。
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青少年保護育成条例
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E5%B0%91%E5%B9%B4%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E8%82%B2%E6%88%90%E6%9D%A1%E4%BE%8B
内容
対象は18歳未満の未婚者のみ(未就学幼児を除外するなど、下限を設けているところもある)
有害図書の指定(有害図書の項を参照)
書店等での、有害図書の区分陳列の義務化(有害図書の項を参照)
有害玩具の指定(有害玩具の項を参照)
理由のない青少年単独の外出禁止、映画館、ボウリング場、カラオケ、インターネットカフェ、まんが喫茶等への、青少年の深夜の出入り禁止(条例によっては遊技場も対象、多くの条例での「深夜」とは、午後11時から翌朝午前4時もしくは5時までを指すが、福島県や大阪府など、より厳しい条例もある)
古物や古本を、青少年から古物商が買い取る場合には、保護者の同意が必要(ただし、成年の場合でも古物営業法に基づき最低限の本人確認を要する)
青少年に対する、着用済下着の買い取りや買い取りをあっせんする行為の禁止(青少年の性別は問わない)
青少年に対する、淫行・わいせつ行為の禁止(淫行条例の項を参照)
青少年を風俗店の店員、また、客として勧誘することを禁止
インターネットカフェでの、インターネット上の有害情報のフィルタリングソフトの活用[4]によるフィルタリング
論争
少年の自己決定権を無闇に削ぐパターナルな条例である[12][13][14]。
表現の自由の観点から疑問や批判が少なからず指摘されてもきた[15]。
いわゆる「有害図書」の規制が、青少年の健全な育成に資するという立法事実(「有害図書」が青少年の健全な育成に悪影響をもたらすという事実)の存否については、なお疑問が呈されている[16][17]。(宮城県が1960年に青少年保護育成条例を制定した際には、青少年条例に反対して来た、宮城県児童福祉審議会委員長の中川善之助(東北大法学部教授)が、「現に(青少年条例を)制定した県の統計でも、その後少年犯罪[3]はちっとも減っていないではないか。」と言い、審議会に辞表を提出した[1]。)
警察権限の拡大・強化につながるのではないか[18][19][20]、
青少年条例は機能的治安立法の一つである[21][22]などの批判がある
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【大人の責任】東京都・性描写漫画規制条例について[桜H22/12/16]
http://www.youtube.com/watch?v=wSZzGmgP2WQ&feature=youtube_gdata
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都青少年条例 露骨な性描写の規制は当然だ(12月15日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20101214-OYT1T01203.htm
過激な性描写のある漫画が、巷(ちまた)の書店やコンビニの棚に並んでいる。
これらの18歳未満への販売規制を強化する東京都青少年健全育成条例改正案が、15日の都議会本会議で可決され、成立する見通しだ。
現行条例は、「著しく性的感情を刺激」する作品は指定図書として成人コーナーなどに分けて売ることを義務づけている。指定に当たっては性器の描写の明確さなどが判断基準となっている。
そのため、例えば果物を性器に見立てるなどして、小学生の性行為を描写したような漫画は成人図書に指定されていない。
条例改正は、こうした規制から漏れた作品についても成人指定が出来るように、基準を改めようというものだ。
青少年の健全育成の観点に立てば、規制強化は当然だろう。
当初の改正案は、18歳未満の少年少女の性行為を肯定的に描いたものなどを新たな規制対象として加えるというものだった。
しかし、民主党などが「対象があいまい」との理由で反対し、6月の議会で否決された。
都が手直しした上で議会に再提出した今回の改正案は、強姦(ごうかん)など法に触れる性行為を「著しく不当に賛美し又(また)は誇張する」作品は成人指定できるとしている。このため民主党は賛成に転じた。
漫画家や出版界には反対の声が根強い。「成人女性の性描写も含まれるなど、当初案よりもさらに規制の対象が広がった」と反発を強めている。
芸術的評価の分かれる作品が一方的に成人指定されかねない、と懸念する声も上がっている。条例案には「慎重な運用」を求める付帯決議が加えられた。条文を拡大解釈して乱用するようなことはあってはなるまい。
都の成人図書の指定は、PTAの代表や出版・報道関係者、都議らで構成する審議会で行われている。今後、審議会にかかる作品の幅が広がり、新たな判断を迫られるケースも出てくるだろう。
より多様な意見を議論に反映させるため、漫画家を委員に加えることなども検討してはどうか。
青少年に対する漫画の販売規制は自治体によって基準が異なり、東京都の議論だけで問題が解決するわけではない。
どんなに出版物の販売が規制されても、ネット上には過激な性描写の画像が氾濫している。
家庭や地域、各業界ぐるみで子どもを守るための取り組みを進めて行くことが肝要だ。
(2010年12月15日01時21分 読売新聞)
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