円高と経済政策
ドル安、ユーロ安が進んでいる。中国などの新興国の安い商品に対抗して通貨安を容認していうからだ。結果として、日本の円が一人だけ高い値を付けている。これを容認するかしないかは国策であって、それに文句を付けるつもりはない。ただ、現在の政府は無干渉、よく言えば自由貿易主義を貫いている。この無干渉は確実に間違っている。日本の産業空洞化を促進して、国益を害するものでしかない。そのことを理解していないことが、現政権の無能を語っている。
○円高の場合
通貨高なら内需の拡大政策を充実させ、日本のガラパゴス化を極端にまで進める政策が必要である。
例としてあげるなら、“30年未来の世界の現実化”とかがいいだろう。
日本全体をハイテク化して、世界水準と限りなくハイレベルな社会の構築、その為の資金提供と情報の保護化、情報や技術の流出についてはかなり厳しい法律を化し、厳格に順守する必要がある。
つまり、円高なら内需を拡大させる事が重要であるといいたい。
上記のように極端なことでなくても、
・ヒートアイランド対策で屋上のエコ化を義務化し、その資金を政府保証で貸し出す。
・埋設物の共有化を図り、共同溝事業の予算を増額する。共同溝化すれば、埋設事業の簡素化が実現し、将来の事業費の縮減になるが、少なくとも事業は20~50年は継続されるので当面の景気対策になる。
・自立国債の発行を行う。(元東大総長の小宮山 宏が提唱する案である。)太陽光発電の電気代で換金する個人向け国債の発行である。さらに私はこれを拡大して、地下熱空調やエコカー等にも拡張すると面白い。
・環境立国の宣言。環境増加減税の導入によって(一定以上の環境配慮度に対して減税。一定以上の環境負荷のあるものに増税。)特殊技術の促進を促す。同時に、環境育進補助を推進して新技術に奨励金を贈る。つまり、新技術開発の為の無償貸し付けを行い。その技術がスバらしいものなら多額の奨励金が返ってくる。その原資は環境税だが最初の貸付保障に国が関与することで景気振興を促す。
・介護ロボットの実用化促進。(将来足りない労働力をすべてロボットに補ってもらう政策。)
内需が高まれば、円が高いことが大きくいい方向に作用する。
つまり、円高メリットが大きくを最大に利用して、多くの資材や資源を輸入することができるのだ。強い円、強い日本という2本立ての政策である。そして、技術力を売り物にして生き残るというのが戦略である。
○円安の場合
これは従来の政府の政策の延長であり、輸出企業によって国益を確保するものである。つまり、世界標準とも言える相対的な円の価値が高すぎないことが非常に重要である。84円はとんでもない世界であり、100円でも高すぎる。105~110円程度がバランス地帯である。120円が維持できれば、貿易黒字の確保は難しくないだろうと思われる。しかし、アメリカやユーロ諸国も通貨安を推し進めているのでそこまで回復させるのは困難だろう。
では、どうすれば円安に持っていくるのだろうか?
その為には、日銀と政府の協調介入が非常に重要である。
日銀の取れる策は、
・為替介入
・金融緩和
・国債買入
の3点である。
為替介入は政府の強い意志を表すこのだが現在の世界情勢を考えれば、反発は免れない。あまり、お勧めでない。
金融緩和はすでにコンマの世界であって実質的な意思表明にもならない。
国債買付は単独で行っても余ったお金がその他の国債を購入に回されるだけであり、これも効果はない。つまり、日銀単独での効果は皆無である。
政府も同様であり、
・国債発行
・紙幣発行
の2点でしかないがどちらも単独では効果はありえない。
つまり、国内需要を喚起する政策を打ち上げて、その資金に国債または紙幣発行を当てる。雇用対策であり、景気対策になる。そして、国債等の発行よって通貨の価値が下がり、円高の抑止を掛けることができる。
現政権は国債の発行を堅くない拒絶している。(紙幣の発行にはもっと強い抵抗があるだろう。)
少し難しいが操作ではあるが、、
長期の固定金利国債を発行して日銀に買い取らせる。3%のインフレ率で10年後の実質価値は半減するので借金も半減する。ついでに800兆円の国債もすべて長期固定国債に書き換えれば、10年後には借金が半分になる訳である。
実質的な借金を減らす気がないなら、800兆円、10年で割ると年間80兆円(10年間)の追加国債予算が査定できる。国債の大量発行は通貨安の効果になる。
さらに、この80兆円を原資に景気対策を打ち出せば、効果はかなりあると思われるのだが果たして政府にそんな勇気があるかどうか疑わしい。
景気雇用対策になり、円高に抑止が掛るので一石二鳥であるのだが・・・・???
さて、民主党の経済政策の目玉は何といっても事業仕分けである。
これはデフレを増長させる原因でなっている。しかもデフレはインフレのように通貨価値の減少がない。価値が安定した通貨が国際的に買われて円高になっている。
さて、さて、民主党は何をやりたいのだろうか?
家計に置き換えて考えてみよう。
☆これは蓮ちゃんのお話です☆
節約好きの蓮ちゃんは家計のやりくり上手でいらないものは買わないように心掛け、家計を少なく抑えた。
蓮ちゃんは得意になって『こんなに節約できました』とテレビで言うと、テレビを見ていた主婦もマネをして節約するようになりました。
節約好きの日本の主婦は偉いね!!!
本当に・・・???
蓮ちゃん旦那さんはスーパーに勤めていました。しかし、お利口になった主婦が無駄なものを買わなくなったので売り上げ激減。時給も減らされて収入は大幅ダウン!!!
家計費で削減して浮いたお金と旦那さんの収入が減った額を合せると、
なんと!!! 赤字です。節約分より減った給料の方が多いなんて!!!
質素に暮らしているのに、前より生活が苦しくなっているなんて・・・どうして???
どうして???
・これは現実に起こっている日本経済の話です。
日本が投資を減らせば減らすほど、日本経済は失速しています。
財政健全化と緊縮財政を続ければ続けるほど、税収は落ちて足りない分を国債という借金を増やしているのです。
理由は簡単です。投資すべきところを間違っているからです。
事業仕分けという作業は悪い作業ではありません。しかし、仕分けるだけで新たな投資を怠れば、むしろ土地は枯れて使い物にならなくなってしまいます。まさにそれが今の民主党なのです。
自民党では、贅肉を落とすことができないので将来に不安があります。
民主党では、無理なダイエットで生命の危険をさらしています。
病気で例えるなら、
今にも死にそうな患者の前で、薬も与えずに普段の食生活について説教を説いているようなものです。
事業仕分けと国家戦略室は2つで1つの機関であり、どちらかが機能しないのならやらない方がマシなのです。
たとえば、最近の話題では“はやぶさ”で有名な独立行政法人宇宙航空研究開発機構は行政刷新会議の第2弾事業仕分けの対象となっている。第1弾よりは穏やかになっているが、基本は削減の方向にあります。とても更なるチャレンジをやるぞという雰囲気ではありません。
この事業仕分けもは以前の仕分けの手法と同じで、以前として法的な根拠はない。しかし、参考意見でもないという曖昧さに思わずため息ができしまいます。
その対極である国家戦略室は未だに機能していない。民主党はこの国をどうしたいと思っているのでしょうか?
経済政策なしに円高対策はありません。それもと円高容認なのでしょうか?
いずれにしても経済は生き物のようなものです。常にこれといった回答がある訳でなく、それでいて無関心ではいけない。
私達は経済戦争という戦争を行っている最中なのです。
危機感を持って、立ち会ってもらいたいと切に願っています。
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